地理空間分析を使用してハリケーンの進路をプロットする

このチュートリアルでは、地理空間分析について紹介します。地理空間分析を使用すると、BigQuery で地理空間データの分析と可視化を簡単に行うことができます。

サンプルデータの探索

このチュートリアルでは、Google Cloud 一般公開データセット プログラムを通じて提供されているデータセットを使用します。一般公開データセットは、BigQuery に保存され、一般に公開されるデータセットです。この一般公開データセットは BigQuery でホストされ、ユーザーがアクセスして独自のアプリケーションに統合できます。Google はこうしたデータセットの保存費用を負担し、プロジェクトを使用してデータを一般提供しています。データに対して実行したクエリにのみ料金が発生します(毎月 1 TB まで無料。クエリの料金の詳細をご覧ください)。

グローバル ハリケーン トラック(IBTrACS)データセット

グローバル ハリケーン トラック(IBTrACS)データセット

NOAA の気象報告に関する国際ベストトラック アーカイブ(IBTrACS)を基に、世界中で発生した熱帯低気圧(TC)の軌跡に沿って、TC の位置と勢力をまとめています。熱帯低気圧は、北大西洋および北東太平洋海域ではハリケーン、北西太平洋海域では台風、南北インド洋海域ではサイクロン、南西太平洋海域では熱帯低気圧として知られています。

IBTrACS は、TC の予測と報告を担当する国際的な監視センターから報告される、TC に関するデータを収集します(また、いくつかの重要な過去のデータセットも収集します)。IBTrACS には 9 か国のデータが含まれています。これらのシステムを記述するデータには、その軌跡と勢力の最適な予測値が含まれています(したがって、ベストトラックという用語が使われています)。

まず、 Google Cloud コンソールで hurricanes テーブルの詳細を参照し、このデータを確認しましょう。

ハリケーンのスキーマに移動

2017 年に発生したハリケーン マリアの進路の調査

チュートリアルのこのセクションでは、2017 年のハリケーン シーズンに発生したハリケーン マリアの進路を調べる GoogleSQL クエリを実行します。このハリケーンの進路をプロットするには、さまざまな時点でのハリケーンの位置をクエリします。

クエリの詳細

次の GoogleSQL クエリを使用して、ハリケーン マリアの進路を検索します。

SELECT
  ST_GeogPoint(longitude, latitude) AS point,
  name,
  iso_time,
  dist2land,
  usa_wind,
  usa_pressure,
  usa_sshs,
  (usa_r34_ne + usa_r34_nw + usa_r34_se + usa_r34_sw)/4 AS radius_34kt,
  (usa_r50_ne + usa_r50_nw + usa_r50_se + usa_r50_sw)/4 AS radius_50kt
FROM
  `bigquery-public-data.noaa_hurricanes.hurricanes`
WHERE
  name LIKE '%MARIA%'
  AND season = '2017'
  AND ST_DWithin(ST_GeogFromText('POLYGON((-179 26, -179 48, -10 48, -10 26, -100 -10.1, -179 26))'),
    ST_GeogPoint(longitude, latitude), 10)
ORDER BY
  iso_time ASC

このクエリ句は次の処理を行います。

  • SELECT ST_GeogPoint(longitude, latitude) AS point, name, iso_time, dist2land, usa_wind, usa_pressure, usa_sshs, (usa_r34_ne + usa_r34_nw + usa_r34_se + usa_r34_sw)/4 AS radius_34kt, (usa_r50_ne + usa_r50_nw + usa_r50_se + usa_r50_sw)/4 AS radius_50kt
    SELECT 句ですべての嵐の気象データを選択し、ST_GeogPoint 関数を使用して latitude 列と longitude 列の値を GEOGRAPHY 型(地点)に変換します。
  • FROM bigquery-public-data.noaa_hurricanes.hurricanes
    FROM 句で、クエリ対象のテーブル hurricanes を指定します。
  • WHERE name LIKE '%MARIA%' AND season = '2017' AND ST_DWithin(ST_GeogFromText('POLYGON((-179 26, -179 48, -10 48, -10 26, -100 -10.1, -179 26))'), ST_GeogPoint(longitude, latitude), 10)
    WHERE 句で、2017 年のハリケーン シーズンに発生したハリケーン マリアに対応する大西洋の地点だけのデータをフィルタリングします。
  • ORDER BY iso_time ASC
    ORDER BY 句で、これらの地点を順序付けし、時系列での暴風域の進路を形成します。

クエリを実行する

Google Cloud コンソールを使用してクエリを実行するには:

  1. Google Cloud コンソールの [BigQuery] ページに移動します。

    [BigQuery] ページに移動

  2. [クエリエディタ] のテキスト領域に、次の GoogleSQL クエリを入力します。

    SELECT
      ST_GeogPoint(longitude, latitude) AS point,
      name,
      iso_time,
      dist2land,
      usa_wind,
      usa_pressure,
      usa_sshs,
      (usa_r34_ne + usa_r34_nw + usa_r34_se + usa_r34_sw)/4 AS radius_34kt,
      (usa_r50_ne + usa_r50_nw + usa_r50_se + usa_r50_sw)/4 AS radius_50kt
    FROM
      `bigquery-public-data.noaa_hurricanes.hurricanes`
    WHERE
      name LIKE '%MARIA%'
      AND season = '2017'
      AND ST_DWithin(ST_GeogFromText('POLYGON((-179 26, -179 48, -10 48, -10 26, -100 -10.1, -179 26))'),
        ST_GeogPoint(longitude, latitude), 10)
    ORDER BY
      iso_time ASC
  3. [実行] をクリックします。

    クエリが完了するまでに少し時間がかかります。クエリが完了すると、結果が [クエリ結果] パネルに表示されます。

    BigQuery でのハリケーン マリアのクエリ結果

BigQuery でクエリ結果を可視化する

BigQuery で結果を可視化する手順は次のとおりです。

  1. BigQuery で結果を可視化するには、[クエリ結果] ペインで [可視化] をクリックします。

  2. [DATA 列] で [usa_wind] を選択します。

    時系列でのハリケーンの位置を点で示す地図が表示され、風速に応じたカラー グラデーションでスタイル設定されています。

  3. 省略可: 点の可視性を調整するには、[最小値] を 0 に設定し、[カラー] リストから別のカラー グラデーションを選択します。

BigQuery でのハリケーン マリアのクエリ結果の可視化

Geo Viz でクエリ結果を可視化する

BigQuery Geo Viz を使用して結果を可視化することもできます。BigQuery Geo Viz は、Google Maps API を使用して BigQuery の地理空間データを可視化するためのウェブツールです。

Geo Viz を起動して認証する

Geo Viz を使用するには、その前に認証を行い、BigQuery のデータへのアクセス権を付与する必要があります。

Geo Viz を設定するには:

  1. Geo Viz ウェブツールを開きます。

    Geo Viz ウェブツールを開く

  2. 手順 1 の [Select data] で [Authorize] をクリックします。

    Geo Viz の [Authorize] ボタン

  3. [Choose an account] ダイアログで Google アカウントをクリックします。

    [Choose an account] ダイアログ

  4. アクセス ダイアログで [Allow] をクリックして、Geo Viz に BigQuery データへのアクセスを許可します。

    [Allow access to Geo Viz] ダイアログ

Geo Viz でクエリを実行する

認証してアクセス権を付与したら、次に Geo Viz でクエリを実行します。

クエリを実行するには:

  1. ステップ 1 の [Select data] で [Project ID] フィールドにプロジェクト ID を入力します。

  2. クエリ ウィンドウで、次の GoogleSQL クエリを入力します。

    SELECT
      ST_GeogPoint(longitude, latitude) AS point,
      name,
      iso_time,
      dist2land,
      usa_wind,
      usa_pressure,
      usa_sshs,
      (usa_r34_ne + usa_r34_nw + usa_r34_se + usa_r34_sw)/4 AS radius_34kt,
      (usa_r50_ne + usa_r50_nw + usa_r50_se + usa_r50_sw)/4 AS radius_50kt
    FROM
      `bigquery-public-data.noaa_hurricanes.hurricanes`
    WHERE
      name LIKE '%MARIA%'
      AND season = '2017'
      AND ST_DWithin(ST_GeogFromText('POLYGON((-179 26, -179 48, -10 48, -10 26, -100 -10.1, -179 26))'),
        ST_GeogPoint(longitude, latitude), 10)
    ORDER BY
      iso_time ASC
  3. [実行] をクリックします。

  4. クエリが完了したら [Show results] をクリックします。手順 2 の [Data] をクリックしても同様に次に進むことができます。

  5. これで手順 2 に移動します。 [Geometry column] で [point] を選択します。ハリケーン マリアの進路に対応する点がプロットされます。

    BigQuery Geo Viz でマッピングされた結果

Geo Viz での可視化のフォーマット

[スタイル] セクションには、カスタマイズ可能なビジュアル スタイルの一覧が表示されます。スタイル プロパティと値の詳細については、可視化をフォーマットするをご覧ください。

マップの形式を設定するには:

  1. 手順 2 の [Add styles] をクリックするか、手順 3 の [Style] をクリックします。

  2. 点の色を変更します。[fillColor] をクリックします。

  3. [fillColor] パネルで以下を設定します。

    1. [Data driven] をクリックします。
    2. [Function] で [linear] を選択します。
    3. [Field] で [usa_wind] を選択します。
    4. [Domain] で最初のボックスに「0」、2 番目のボックスに「150」と入力します。
    5. [Range] で最初のボックスをクリックし、16 進数で「#0006ff」と入力します。2 番目のボックスをクリックし、「#ff0000」と入力します。これで、風速に基づいて点の色が変わります。弱い風の場合は青、強い風の場合は赤です。

      BigQuery Geo Viz で塗りつぶしの色を追加する

  4. マップ上で確認します。ポインタをいずれかのポイントに合わせると、その点の気象データが表示されます。

    点のマッピングの詳細

  5. [fillOpacity] をクリックします。

  6. [Value] に「.5」と入力します。

    BigQuery Geo Viz でマップ塗りつぶしの不透明度を書式設定する

  7. マップ上で確認します。点の塗りつぶし色が半透明になっています。

  8. ハリケーンの半径に基づいて点のサイズを変更します。[circleRadius] をクリックします。

  9. [circleRadius] パネルで以下を設定します。

    1. [Data driven] をクリックします。
    2. [Function] で [linear] を選択します。
    3. [Field] で [radius_50kt] を選択します。
    4. [Domain] で最初のボックスに「0」、2 番目のボックスに「135」と入力します。
    5. [Range] で最初のボックスに「5」、2 番目のボックスに「135000」と入力します。

      BigQuery Geo Viz で円の半径を追加する

  10. マップ上で確認します。各点の半径がハリケーンの半径に対応するようになりました。

    BigQuery Geo Viz の完成マップ

  11. Geo Viz を閉じます。